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中国人事労務

② 労働契約書締結時の契約期間や就労時間の設定

労働契約の期間

  • 従業員の採用については労働契約制を実施する。
    すなわち、公司と従業員の間で労働契約を締結する(人材仲介機構を通じた間接契約も含む)。
  • 原則として新入従業員の第一回目の労働契約は
                                         3年間の労働契約とする。
    労働契約期間満了時にその勤務状態と勤務態度を総合的に評価した後、公司と従業員の間で達成した合意に基づいて1年以上を期間とする労働契約を更新する場合もある。
  • 同一企業に10年以上勤務
  • 有期雇用契約3回目

労働者が希望すれば無期限雇用の義務あり

  • 1年以上労働契約を書面で交わさない

制裁として、無期限雇用の義務あり

労働契約について(中国労働契約法)

業務開始日から1カ月以内で締結

⇒罰則なし

1カ月以上1年未満で締結

⇒1カ月を超えた日以降契約締結の日まで、毎月賃金を2倍支払う義務あり

1年を経過しても労働契約を締結しない

⇒「期間の定めのない労働契約」を締結したものとみなされ、かつ、契約を締結しない期間は毎月賃金を2倍支払う義務あり

 

労働契約の必要記載事項

労働法19条

労働契約法17条

① 労働契約期間
② 業務内容に関する事項
③ 労働保護・労働条件に関する事項
④ 労務報酬に関する事項
⑤ 労務規律に関する事項
⑥ 労働契約終了の条件に関する事項
⑦ 労働契約違反に対する責任に関する事項
① 会社名称・所在地・法定代表人または責任者の氏名
② 労働者氏名・住所・身分証明書番号
③ 労働契約期間に関する事項
④ 業務内容・勤務場所に関する事項
⑤ 労働時間・休憩・休暇に関する事項
⑥ 労務報酬に関する事項
⑦ 社会保険に関する事項
⑧ 労働保護・労働条件・職業危害の防護に関する事項
⑨ 法律法規が規定するその他の事項

※以下は任意記載事項となります。
①試用期間 ②職業訓練 ③秘密保持 ④補充保険 ⑤福利厚生

労働時間に関する規制

  • 第●条 従業員の1日の労働時間が8時間を超えず、週平均労働時間が40時間を越えない労働時間制度を実施する。
     
  • 第●条 使用者は労働者に毎週少なくとも1日の休日を保障しなければならない。
     
  • 第●条 国家は年次休暇制度を実施する。連続して1年以上勤務した労働者は下記に掲げる年次有給休暇をとることができる。

中国における労働時間は、日本の労働基準法とほぼ同じ内容で、1日8時間以内、週平均40時間以内、休日は週1日以上、1年以上勤務した労働者には年次有給休暇を与える、となっています。

 

労働時間に関する規制

標準勤務時間制度一般的な勤務時間制度。
1日8時間以内、週40時間以内、少なくとも週に1日の休日を設けること。
不当時勤務時間制度

従業員の出退勤の時間が確定せず、その業務の特殊性により連続した勤務の必要性がある場合に採用される。
実務上は高級管理職や運転手、営業担当など一定の範囲でえしか認められない。

原則としていくら働いても残業代は発生しないが、法定休日の勤務は例外としている地域が多い。

総合計算勤務時間制度

週、月、季、年を単位として、勤務時間が設定されており、その時間を上回って勤務したときに残業代が発生する。
週40時間、月166.64時間、季500時間、年2,000時間。
一定の業界の従業員にしか適用できない。

③ 試用期間の設定、試用期間内の解雇

試用期間

1. 新たに採用した者については、労働契約期間に応じて、下記の基準に基づき試用期間を設ける。なお、試用期間は労働契約書に明記し、労働契約期間に通算する。
(1)労働契約期間が3か月~1年未満の場合、試用期間は1ヶ月を超えないこと。
(2)労働契約期間が1年~3年未満の場合、試用期間は2ヶ月を超えないこと。
(3)3年以上の固定期間の契約および無固定期間の契約の場合、6ヶ月を超えないこと。


2. 試用期間中において、従業員はいつでも労働契約を解除できる。従業員が採用条件に適していないことが証明された場合、公司は労働契約を解除できる。

労働契約の期間試用期間
3ヵ月未満また一定の業務完了を期限とする労働契約試用期間の設定は不可
3ヵ月以上1年未満1ヵ月以内
1年以上3年未満2ヵ月以内
3年以上または期間の定めのない労働契約6ヵ月以内

※ 試用期間は、賃金の80%を下回ってはならない(地域による違いあり)
※ 使用者の所在地の最低賃金を下回ってはならない

④ 勤怠管理、休暇、割増賃金

休日、休暇

休日は以下のとおりとする。

1.従業員の休日は、土曜日、日曜日、及び法定休日とする。
2.従業員の法定休日は、中国の法律・法規に基づいて実施する。
3.従業員が業務上の必要から前項で定める休日および法定休日に出社もしくは時間外勤務する場合、公司は『労働法』及び関連法規に基づいて代休を調整するか、あるいは時間外勤務手当を支給する。

休暇の種類

(1)法定休日 年間11日
(2)年次有給休暇
   1年以上10年未満   5日
   10年以上20年未満 10日
   20年以上 15日
(3)出産休暇

 

(4)病気休暇
(5)慶弔休暇
(6)労働者の私事による休暇
(7)親族訪問休暇
(8)その他

年次有給休暇

年度内において、下記に掲げる状況の一つに該当する従業員は、次年度において年休を受けられないものとする。

①在職期間が合計1年以上10年未満の従業員で、病気休暇が合計2ヶ月以上の場合
②在職期間が合計10年以上20年未満の従業員で、病気休暇が合計3ヶ月以上の場合
③在職期間が合計20年以上の従業員で、病気休暇が合計4ヶ月以上の場合
④私用休暇が累計20日以上で、企業が私用休暇の利用につき賃金を控除しない場

有給休暇日数は、下表のとおり。もし会社が業務の必要性から従業員のために有給休暇を手配できない場合、未消化の有給休暇はその従業員の賃金の300%を支給しなければならない。

合計勤続年数基準法定年休日数
1年以上10年未満5日
10年以上20年未満

10日

20年以上15日

有給慶弔休暇

1.従業員は、以下の各号の一に該当する場合、慶弔休暇を受けることができる。
但し、休暇中に休日がある場合はこれを休暇日数に算入する。

本人の結婚(男女不問)10日
子女の結婚1日
男性従業員で配偶者の出産した場合10日
父母(養父母、継父母を含める)、配偶者、子女の葬儀3日
祖父母、外祖父母、兄弟姉妹の葬儀1日
従業員の自宅が立退き移転する場合
(区・県の不動産主管部門の証書が必要)
2日
自然災害により出勤できない場合(公司の認定した日数)
政府の交通管制に遭って出勤できない場合(政府指定の日数)

有給の慶弔休暇の休暇日数は地域ごとに定められている。
(上記は上海市が定める慶弔休暇日数をもとに作成)

割増賃金

1.業務の必要により、所属上司の承認を得て所定労働時間を超えて勤務した場合には、以下のとおりの時間外勤務手当を支給する。
① 平日時間外勤務: 時間給×時間外勤務時間×150%
② 休日時間外勤務: 時間給×時間外勤務時間×200%
③ 法定祝祭日時間外勤務: 時間給×時間外勤務時間×300%
但し、代休を与えられた場合、時間外勤務手当を支給しない。また、代休は事由
発生後1ヶ月以内に取得申請を行い、申請をしない場合は代休取得の権利を失う
ものとする。

2.時間外勤務では30分未満については計算しない。
3.時間外勤務手当は管理職掌の従業員については支給しない。

時間給の計算方法
中国では従業員の月平均勤務日数は21.75日と法定されている。
(365日-104日(年間土日合計日数))÷12カ月=21.75日
月給制で1日8時間勤務の場合、時間給は月給÷21.75日÷8時間となる。

⑤ 女性社員の処遇、結婚休暇、産休

女性保護

会社は、女性従業員の妊娠、出産、授乳の期間中に給料を下げ、退職させ、あるいは、労働契約や雇用契約を解除しないものとする。(特別規定第5条)

国務院が2012年に制定した「女性従業員労働保護特別規定」(以下「特別規定」)では、女性従業員に対して「三期」(妊娠期間、出産期間、授乳期間)の保護を規定している。地域によっては、上記の「三期」のほかにも、労働契約、授乳休暇、更年期障害などに関する内容も保護の対象に追加している。
三期期間中に契約が終了する予定だった労働契約期間は、三期期間終了時まで延期される。

女性従業員の待遇

生理休暇病院の診断書を受ければ1~2日の休暇を取ることが出来る。
出産前の検査会社はこれを正常の出勤日としなければならうず、病欠、私用休暇、欠勤としてはならない。
胎児保護休暇

妊娠中の従業員は医師の診断書に基づき、胎児を保護する目的で病欠休暇を与えなければならない。
(国営企業の規程を準用)

出産前休暇地方規定。上海の場合、妊娠7ヵ月以降の場合、従業員からの申請を会社が認めた場合、2.5ヵ月の出産前休暇を取得出来る。従業員が申請しない場合でも、会社は1日あたり1時間の休憩を与えなければならない
流産休暇従業員が流産した場合、妊娠4ヵ月未満であれば15日、4ヵ月以上であれば42日の休暇を与えなければならない。地域によってはさらに手厚い規定を設けている。
出産休暇産前休暇15日、産後休暇83日の合計98日を与える。予定日前出産の場合は出産後に振り分け、予定日後出産の場合は超過日数を病欠扱いとして計算する。難産の場合はさらに15日加算する。地域によってさらに手厚い規定を用意。
(上海は法定以外に30日の休暇を奨励)
夫の付き添い休暇妻が出産する際に夫が妻に付き添うために休暇を取得することが出来る付与日数は地方政府の判断に委ねられており、上海の場合は10日。

⑥ 社会保険制度への加入

中国の社会保険制度

1.会社は●●市の関係規定に準拠して養老保険、医療保険、失業保険、労災保険及び住宅公共積立金の制度を実施する。
2.外国籍従業員については、本条の規定は適用せずに別途定める

【基数の上限と下限】
 上限下限
2016年度17,817元3,563元
2017年度19,512元

3,902元

2018年度21,396元4,279元

 

 

社会保険料=賃金(※)×保険料率 

※但し上限・下限あり

【保険料率】
 個人負担率企業負担料率
2016年度2017年度2018年度
養老保険8.0%20.0%20.0%20.0%
医療保険2.0%10.0%9.5%9.5%
失業保険

0.5%

1.0%0.5%0.5%
生育保険-1.0%1.0%

1.0%

労災保険-0.2%~1.9%0.2%~1.9%0.2%~1.9%
住宅積立金7.0%7.0%7.0%7.0%
合計17.5%39.2~40.9%38.2~39.9%38.2~39.9%

日中社会保障協定の調印

2018年1月28日、北京で行われた河野太郎外相と中国の王毅外相との日中外相会談において、両国間の社会保障協定が実質合意に至り、同年5月9日に東京で両外相が「日中社会保障協定」に署名した。(現時点で未発効)

日本人駐在員の社会保険加入義務
中国勤務期間年金制度医療保険
5年以内日本の年金制度にのみ加入中国の医療保険制度に加入義務あり
5年超中国の年金制度に加入義務あり中国の医療保険制度に加入義務あり

中国養老保険(年金)の受給資格は15年以上の納付実績が必要で、15年以上保険料を納めて定年(男性60歳、女性50歳(一部55歳))に達した者(一部例外あり)が、年金を受給することができる。日本人駐在員がこの年数に満たないまま日本に帰任した場合、本人負担分の保険料については本人の申請に基づいて還付されるものの、会社負担分の保険料は還付されないこととなる。

 

⑦ 病気休暇の取り扱い

病気休暇(傷病休暇)

1.従業員が病気で欠勤する場合、公司が求める場合には病院が発行する病気休暇
証明書を提出しなければならない。また長期間にわたって病気欠勤する場合は、
月毎に診断証明書を提出しなければならない。
2.病気による診察、及び病気休暇については、以下の規定に従って処理しなけれ
ばならない。

①勤務時間内に病院へ行く場合は、事前に書面による上司の承認を得なければならない。
②病気休暇期間の賃金は本規則の第〇条に従って執行する

  • 業務外傷病の認定は病院の診断書による
  • 勤続年数に応じて病気休暇日数を付与しなければならない
  • 病欠中も、使用者は一定の賃金や社会保険料を支払わなければならない
  • 従業員が所定の医療期間が満了したにもかかわらず、元の仕事に従事できず、かつ、企業が別途手配した仕事にも従事できない場合は、経済補償金を支給しこれをもって労働契約を解除することが認められている。

医療期間

従業員が罹病もしくは公傷外の負傷を負った場合、公司における勤続年数の長短に応じて一定の医療期間を付与する。この具体的な計算方式は●●市の関係規定に基づいて実施する。医療期間は従業員の会社における勤続年数に応じて設定する。

累計勤務年数
(前職での勤務年数を含む)
現在の使用者に
おける勤務年数
医療機関

10年以下

5年以下3ヵ月
5年以上6ヵ月
10年以上5年以下6ヵ月
5年以上10年以下

9ヵ月

10年以上15年以下12ヵ月
15年以上20年以下18ヵ月
20年以上24ヵ月

※上記は上海の場合。上記と異なる医療期間を設定している地域もあります。

医療期間における待遇

1.従業員が医療期間内にあるときの各種待遇は、●●市の関係する法律・法規に準拠して処理する。
2.罹病もしくは勤務外で負傷し、連続6ヶ月以内の休暇をとる従業員に対して、公司は以下の基準に基づいて病気休暇賃金を支給する。
3.罹病もしくは勤務外で負傷し、連続6ヶ月を超える休暇をとる従業員に対して、公司は以下の基準に基づいて病気休暇賃金(疾病救済費)を支給する

実際の休暇期間当該使用者における
勤務年数
休暇期間中の賃金

6ヵ月以内

2年未満本人賃金の60%
2年以上4年未満本人賃金の70%
4年以上6年未満本人賃金の80%
6年以上8年未満本人賃金の90%
8年以上本人賃金の100%
6ヵ月超1年未満本人賃金の40%
1年以上3年未満

本人賃金の50%

3年以上本人賃金の60%

⑧ 経済補償金の支払い

経済補償金の金額

●経済補償金の金額は、以下の通り
勤続年数金額

満1年につき

1ヵ月分の基礎賃金

6ヵ月以上1年未満の部分

1ヵ月分の基礎賃金
6ヵ月未満の部分半月分の基礎賃金

経済補償金を支払わない場合は50~100%増額

●期間満了により労働契約を終了し、かつ、使用者が労働条件水準を維持・改善する契約更新の申し込みをしたにも関わらず、労働者がこれを拒否した場合は、労働者側の主導によって労働契約が終了したとみられ、使用者は経済補償金を支払う必要はない

懲戒処分

1.公司はその裁量により、該当従業員に対し情状に応じて以下の処罰を実施する。
 ① 書面警告  始末書を提出させ、本人の反省を求める
 ② 出勤停止  始末書を提出させ、1~14日以内の出勤を停止する
 -一部省略-
 ⑤ 解雇処分 事前予告なしに労働関係を解除する、かつ、経済補償金なし
2.前項で規定する処罰事項及び従業員に科せられた処分の詳細情況は従業員の記録として保存し、賃金もしくは賞与の査定及び昇格の考課項目の一つとして考慮する

労働契約の解約・終了の場合、使用者側に経済補償金の支払いが求められる。
  • 労働者が即時解約する場合(38条)
  • 使用者が合意解約を申し出て労働者が承諾(36条)
  • 30日前の予告を要する無過失性解雇(40条)
  • 整理解雇(41条)
  • 使用者が破産宣告を受けた場合(44条④⑤)
  • 労働契約が終了した場合(44条①)

解雇の制限

  • 業務上の傷病により労働能力の一部又は全部を失ったと認められたとき
  • 業務外の傷病により所定の治療期間にあるとき
  • 女性労働者が産前産後・育児休業期間にあるとき
  • 法令に定めるその他の事由があるとき
  • 危険を伴う作業に従事している者で離職前の検診・診断を受診していない者または職業病に罹患している疑いで診断を受診している者
  • 当該企業での勤続年数が15年を超え、法定の定年年齢まで5年未満の者

解雇制限期間であっても合意があれば労働契約を解除できる。
ただし、かならず合意解除協議書を作成しておくこと

「乙は、甲が本協議書に定める賃金、経済補償金、慰労金を乙に支給した後、乙に対していかなる債務も損しないことを確認し、今後甲に対していかなる経済的要求またはその他の要求を行わないことに同意する。」

⑨ 評価制度の導入と運用

人事評価制度

1.会社は別途評価基準を定めて人事評価を行い、従業員の処遇を決定する。
2.人事評価は、職務内容、職務能力、職責、成績、勤務態度等の要素を総合的に考慮して行うものとする。
3.人事評価の結果が不良である場合は、業務指導や改善のための人事上の措置が実施されるものとするが、なお改善が見られない場合は、会社は懲戒処分、解雇又は退職勧奨を含む人事上の措置を講ずる場合がある。

現地日系企業の問題点
  • 海外駐在員を重視しすぎて、現地社員がトップに立てる風土がない
  • 上のポストが詰まっており、キャリアアップに時間を要する
  • 昇給額よりもベースアップのほうがウェイトが大きく、やった人とそうでない人 の昇給額にほとんど差がつかない
  • 現地人材がローテーションを嫌って専門領域に専念し、ゼネラリストが育ちにくい
  • 日本人の上司が、言語の問題でなかなか現地社員とコミュニケーションをしない
  • 人事評価をきちんとせず「年功序列」のため優秀な人材が欧米系に移りやすい

中国現地法人の評価制度導入手順

ステップテーマ作業内容

ヒアリング
現状分析

◆ プロジェクトリーダーの選任
◆ プロジェクトチーム組成
◆ モラールサーベイ(従業員意識調査)実施

人事評価制度

基本設計

◆ 人事評価制度の基本設計、フレームの構築
◆ 等級制度の検討(職能等級・職務等級・役割級)
◆ 等級要件、役職要件、昇格基準の検討

職務分析

評価項目設定

◆ 職務分析

◆ 考課者・被考課者の関係性の決定
◆ 評価項目の洗い出し、選定

賃金分析・制度設計
移行シミュレーション

◆ 賃金分析

◆ 賃金シミュレーションの実行
◆ 各種手当の検討(職務手当、調整手当等)
◆ 不利益変更対策

考課者訓練の実施

◆ 考課者マニュアルその他の考課者訓練資料の作成

◆ プロジェクトチームや管理監督者層に対して考課者研修を実施

人事考課規程の整備

◆ 人事考課規程の作成
◆ 人事考課マニュアル、考課シート等の作成
◆ 就業規則・賃金規程の変更及び届出

従業員説明会の開催

◆ 従業員説明会資料を作成し、従業員説明会を実施

⑩ 日本からの駐在員の処遇 

海外駐在員に対する就業規則の適用範囲

1.公司に所属する日本商事(株)より出向の駐在員については、本規則の第二章(第9条より第13条)、第27条より第32条、第50条より第52条、および第十一章(第57条より第63条)の規定は適用しない。
2.中国国内で現地採用された外国籍従業員については、第49条の規定は適用せずに別途定める

海外駐在員規定 チェックポイント
  • 赴任時の生活水準を海外赴任後も維持できているか?
  • 海外特有の手当について考慮されているか?
  • 家族構成等による格差が出ていないか?
  • 単身者か家族帯同者かによる不公平感はないか?
  • 会社が海外の多拠点に展開した場合にも対応可能か?
  • 本国において寄付金課税されないようにできているか?
  • 賃金だけでなく、服務に関する規定も盛り込まれているか?
  • 危機管理に対応できる規程になっているか?

海外赴任規程の主な項目

目的海外基本給賞与交通費

適用範囲

現地生計費

為替レート

宿泊費

定義

みなし税

内示

自動車の運転

派遣期間

現地水光熱費

渡航手続き

現地居住施設

服務基準

国内水光熱費

健康診断

通勤手段

基本的心得

二重生計費対応

予防接種

医療費

年次有給休暇

公租公課

派遣前研修

健康管理

家族の帯同

社会保険

語学研修

災害補償

家族の引き纏め

海外勤務手当

パスポート取得

海外旅行傷害保険

海外給与体系

ハードシップ手当

就労ビザ取得

一時帰国

海外給与の決定

派遣加給手当

荷造運送費

その他の帰国

海外給与の支払

子女教育手当

国内引越費用

緊急時の対応

現地受取額

特務手当

残置家財

帰任時の住居

日本での受取額

派遣先役職加給

赴任支度金

社内届出 ほか

⑪ その他の留意点 

職業訓練と継続勤務期間条項

1.会社の費用負担により国内あるいは海外研修活動を受ける従業員は、研修が終了した後の一定期間は会社で勤務しなければならない。この場合、特に定める場合を除いて国内研修者の勤務期間は3年とし、海外研修者の勤務期間は5年とする。
2.従業員の勤務期間が満了する前に退職を申し出る場合、公司に勤務期間の残余分がその勤務期間に占める比率に応じて按分した研修費用を公司に返還しなければならない。

●せっかく人材を育ててもすぐに転職してしまう
⇒職業訓練を受ける労働者に対しては、継続勤務期間条項を定めることができる

●使用者が労働者のために特別の養成・訓練 費用を提供し、当該労働者に対し専門技術訓練を行う場合には、継続勤務期間を約定することができる(労働契約法22条)
⇒違反者には、違約金を請求することができる

秘密保持条項と競業避止条項

従業員は、労働契約の有効期間中、契約期間の満了等の原因により本契約が終了した後、または本契約が解除された後においても、会社の業務、経営、顧客、財務、従業員、知的財産権、資金等に関する甲の情報、または甲に関連しもしくは甲の利益に影響を及ぼしうる情報(以下、併せて「秘密情報」という)について、その秘密を厳格に保持するものとし、これらの秘密情報を第三者に漏洩もしくは開示してはならない

●使用者と労働者とが労働契約において、商業秘密及び知的財産権に対して秘密保持条項を約定することができる

●秘密保持義務違反により使用者が損害を受けたときの賠償額の算定が困難な
ときを想定して「損害額が不明のときは、直近12カ月の平均月賃金の倍額」
などと明文化しておく

●秘密保持義務を負う労働者に対して競業避止義務を負わせることが可能
 ⇒競業避止期間は最大2年
 ⇒競業が制限される範囲は労使双方で決定する
 ⇒競業避止の期間中、毎月経済補償金を払う(地方により様々)
 ⇒書面契約がない場合は営業秘密のみ保護

就業規則規定時の意見聴取

使用者が労働報酬、勤務時間、休憩・休暇、労働安全衛生、保険福利、従業員研修、労働紀律及び労働ノルマ管理等についての労働者の切実な利益に直接関わる規則制度または重要事項を制定、改正または決定する場合は、従業員代表大会または従業員全体で討議し、方案及び意見を提出し、工会または従業員代表と平等な協議を経て確定しなければならない。(『中華人民共和国労働契約法』第4条)

これらの法律規定に適法に対応するための予防措置として、企業は就業規則の具体的な制定手続きにおいて、以下の三点に留意しなければなりません。

① 従業員代表大会または従業員全体で討議し、方案及び意見を提出し、工会または従業員代表と平等な協議を経て確定すること
② 公示または労働者に告知すること
③ 争議の発生時に証明できないことを避けるために、使用者は労働報酬、勤務時間、休憩・休暇、労働安全衛生、保険福利、従業員研修、労働規律及び労働ノルマ管理等についての労働者の切実な利益に直接関わる規則制度を制定するときは、従業員代表大会または従業員全体で討議した書面による証拠を保存しておくこと

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