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海外勤務者の社会保険

在籍出向の場合

出向元の国内企業から給与の一部又は全部が支払われている場合

日本の社会保険資格は継続します。給与の一部のみが出向元から
支払われる場合は、国内で勤務していたときよりも本人の保険料負担額は減少します。

出向元の国内企業から給与がまったく支払われていない場合

出向元との雇用契約は継続していないとみなされる恐れがあり、この場合は健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の被保険者資格は喪失します。

ただし、労災保険については海外派遣者特別加入制度を利用することができます。

転籍出向の場合

日本の出向元との雇用契約を終了させて勤務地国の現地法人等との雇用関係のみとなるため、在籍出向で出向元から給与を得ていない場合と同様に、日本での被保険者資格は喪失します。

この場合、労災保険の特別加入もできませんのでご注意ください。

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海外赴任者の給与計算は国内での給与計算とは違います。
海外赴任者の場合、現地での社員の手取りを考慮して給与設定をしなくてはならないし、社会保険や医療制度についても考えなくてはなりません。

海外赴任者の為にも海外赴任規程を定め、準備をしましょう。

被保険者資格を喪失した場合の代替措置

(1) 健康保険
  1. 健康保険の被保険者資格喪失の日から20日以内に、任意継続被保険者の手続きを行います。ただし、最長2年間となります。
  2. 国民健康保険に加入します。ただし、住民票を除票してしまうと加入できません。
(2) 介護保険

そもそも、介護保険については海外ではサービスを受けることができません。
そのため、保険料を支払う必要はありません。

(3) 厚生年金の被保険者資格を喪失した場合

国民年金に任意加入することになります。

要件としては、

  1. 日本国籍を有する20歳以上65歳未満の者であること
  2. 日本国内で保険料の納付が可能なこと(国内に協力者がいなくても日本国民年金協会に代行依頼できます)
(4) 雇用保険

原則的に継続することはできません。

(5) 労災保険

原則的に海外勤務時は対象外ですが、在籍出向で出向元から給与が支払われている場合に限り、海外派遣者特別加入制度を利用することができます。

日本と勤務地国の年金制度への二重加入を防ぐ方法

日本と社会保障協定を締結している国に赴任させる場合は、赴任期間が5年以内であり、かつ、その者が日本の年金制度に加入していることを条件に、相手国の年金保険料等を免除してもらうことができます。

現在日本は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ(オーストラリア、オランダ、チェコスロヴァキアは準備中)と社会保障協定を締結しています。

海外において日本の健康保険を利用する方法

海外で治療を受けた場合も日本の健康保険から治療費が一部支給されます。この場合、支給される療養の範囲は、日本において保険診療の対象になるものに限られます。

支給については後払いとなるため、一旦本人が全額を負担することになります。また、保険機関の一部負担額は、日本で受診した場合の療養費をもとに算出されるため、日本と同様に7割が払い戻されるとは限りません。

海外療養費の支給申請には、次の書類が必要になります。

  1. 療養費支給申請書
  2. 診療内容明細書
  3. 領収明細書(診療明細書)
  4. 領収書(原本及び翻訳文)

上記1から3は日本国内の社会保険事務所や健康保険組合に置いていますので、海外赴任時に持参してください。

健康保険と海外旅行傷害保険の違い

健康保険が一旦全額を負担しなければならないのに対して、海外旅行傷害保険は保険会社が契約を結んでいる病院で治療を受ければ現金不要で治療を受けることができます。

欧米などの治療費が高額な地域では特に重要視されており、通常は企業が包括契約で加入します。保険料は1人につき年間15万円程度です。

ただし、海外旅行障害保険は、持病を含む既往症、妊娠・出産費用、歯科治療については対応していないものがほとんどですので、これらは健康保険でまかなうしかありません。

海外駐在員向けの海外派遣者特別加入制度とは?

下記に該当する人については、日本国内の企業から海外派遣され、一部でも国内企業から給料が支払われていれば加入できます。

  1. 日本国内で行われる事業から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等、海外で行われる事業に従事する労働者
  2. 日本国内で行われる事業から派遣されて、海外にある一定数以下の労働者を常時使用する中小事業に従事する事業主及びその他労働者以外の者

この場合、保険料は年間6,385円~36,500円となります。

実際に労災事故が発生した場合、特別加入申請時に記載された業務内容をもとに業務上かどうかが判断されますので、業務内容は正確に記載してください。

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